どうにも寝付けない。目の前にドラえもんとのび太がいる。これは現実か、幻覚か。
ドラえもんが何か道具を出す。映画館の機械みたいな道具である。今時の映画館しか入ったことが無く、昭和っぽい映画館の後ろにありそうな機材なんて実際見たこと無いが、そんなことどうでもいい。ドラの説明によると、映像と音楽が眠りを誘う、らしい。
音楽が聞こえない。どうやらすでに僕は耳栓をしているので聞こえないらしい。それは分かったが、それなら何故ドラやのび太の声は聞こえているのか。さてはやつらテレパシーの使い手か。それはさておき、僕はなにやらよく分からない21世紀の映像を見せられて何かしらの効果によって強制的に寝かされるらしい。それは恐ろしい。僕は必死に抵抗した。
抵抗の甲斐あって、やつらはこの非人道的な睡眠導入を断念し、そして拗ねた。ドラえもんは窓の外に出ていって、のび太は壁に向かってうずくまった。がその後だ。なにやらのび太がドラえもんの着ぐるみのようなものを着始めた。そしてのび太はドラえもんになった。ただし、頭も胴体も四角形をしている。はっきり言って気持ち悪い。それが壁に向かってうずくまり、どよーんとした雰囲気を表す漫画のような黒の縦線が入り、脂汗を垂らしているのだ。果たしてオリジナルのドラえもんは四角いのび太になったのだろうか。なんとも気味の悪い入れ替わりである。
そこでエンドロールがながれ始めた。タイトルと、初出の本の紹介がある。なるほど、この話は雑誌か何かに掲載されたもののアニメ化だったのだな。そう思った、ことを覚えている。