接吻数問題(Kissing Number Problem)と呼ばれる問題があるそうだ。Wikipediaでは「(n 次元)接吻数問題(せっぷんすうもんだい、kissing number problem)とは『n次元の単位球の周りに単位球を重ならず触れ合うように並べるとき、最大何個並べることができるか』という問題である。その個数のことを接吻数という。」と述べられている。二次元の場合は、もちろん円の周りを6つの円で囲うのが解であるから、接吻数は6である。
この二次元の場合の接吻数問題を中学入試程度の算数の問題にできないかとこの前考えていた。算数の問題であるから、三角関数や三平方の定理を使ってはいけない。考えてみた結果、なんとかできそうだった。
誘導なしというのはちょっと厳しい気がしたので、以下のような小問に分割する。
1.は単なる作図である。半径2cmと4cmの同心円を描いて、半径4cmの円上に頂点を持つように一辺4cmの正六角形を取って、正六角形の各頂点を中心とする半径2cmの円を書けばよい。1.をもって接吻数が6以上であることが示されたとする。
2.を解くためには以下のように補助線BDを引けばよい。AD=ACが成りたつことからAB>ACである。
3.は以下のような図において△CBB’について2.の結果を適用すればよい。
4.は、ある円を取り囲む円を7つ以上描いたときに必ずどれか2つの円が重なることを示せばよい。このように円を描いたとすると、外側に描いた円の中心は、真ん中のある円の半径4cmの同心円上に載っているはずである。この同心円は、7つの頂点によって7つの扇型に分割されることとなる。もし7つの扇型の中心角が全て60°以上ならば和が360°を超えてしまうので、ある扇型について中心角は60°未満。この扇形の弦の長さは、3.の結果より中心角が60°の場合の弦の長さよりも短い。中心角が60°の場合は弦の長さは4cmであるから、弦は4cm未満ということになる。すなわち、2つの円の中心の距離が4cm未満ということとなり、このとき二つの円は重なってしまう。